フラーレンは1985年に発見された比較的新しい物質で、
60個の炭素原子のみでできた切頂二十面体
(サッカーボールのような球状)の構造も持つ分子です。
ハロルド・クロトー、リチャード・スモーリー、
ロバート・カールらによって1985年に発見され、
発見者の三人は、1996年度のノーベル化学賞を受賞しました。
化粧品の原料として使用されたのは、
2005年にラジカルスポンジ®という水溶性フラーレンというもので、
さらに、2009年には油溶性フラーレンのリポフラーレン®が登場しました。
現在ではフラーレンの種類は5つとなっています。
- 水溶性フラーレン
- 油溶性フラーレン-オリーブスクワラン分散型
- リポゾーム化用フラーレン-保湿と浸透性
- パウダータイプフラーレン-メイク用品に最適
- リポゾーム化用フラーレン配合化粧品原料
*フラーレンの技術や登録商標はビタミンC60バイオリサーチ株式会社のものです。
フラーレンの美容効果の特徴
それは、高いアンチエイジング力と持続力です。
抗酸化力はビタミンC(アスコルビン酸)の125倍~250倍という試験データが出ています。
ビタミンC誘導体と比べて抗酸化持続力が高いことも明らかになっています。
フラーレンの美白効果
ビタミンC60バイオリサーチ株式会社と
東京工科大学応用生物学部美科学研究室との共同研究によって
様々な試験結果がでています。
- メラニン産生を抑制
ヒトメラノーマ細胞にフラーレンを添加したものと、
添加なしのものに紫外線を照射した後の比較では、
フラーレン未添加の細胞には、大量にメラニンが産生されていますが、
フラーレンを添加したものはメラニンの産生が抑制されている
という試験結果が出ています。 - 目尻の小ジワ改善効果
1%のリポフラーレンを8週間塗布することでシワの減少が確認されました。 - 保湿効果
ラジカルスポンジを1日朝晩2回5日間塗布すると
2日目に塗布しない肌より20%以上の肌バリアの回復を確認できました。 - ニキビ改善効果
リポフラーレン1%配合ジェルを、0.4mLずつ朝晩2回8週続けて顔に塗布。
4週目から明らかなニキビの減少が確認され、8週目には水分量の増加もみられ
たことで乾燥の防ぐこともわかりました。 - 毛穴引き締め効果
ラジカルスポンジ1%配合ローションを朝晩2回3ヶ月塗布。
2ヶ月後には、目立っていた毛穴量が20%減少し、
3ヶ月後は毛穴の面積が明らかに小さくなっていることを確認しました。
ビタミンC60バイオリサーチ株式会社と東京工科大学応用生物学部美科学研究室との
共同研究から、フラーレンの新たな美白効果として酸化ストレスから起こる
皮膚角層のバリア機能低下に対する予防・改善効果が発見されています。
フラーレンには、もともとフリーラジカル消去作用というものがあり、
これまでの研究でも、紫外線による角質バリアの機能低下に対して
予防・改善効果があるといわれてきました。
*フリーラジカルとは 通常はペアを組んでいる電子が不対になって反応性が高く不安定な原子・分子団。体内では有害な作用をもたらします。
この発見により、そのことが確かなものであると証明されたのです。
これら、様々な効果が明らかになってきて、
小ジワの改善効果だけでなく
総合的に肌をキレイにする効果があるということで
美容業界では、大注目の成分なのも納得なのです。
スキンケアにぜひ取り入れたい美容成分ですね。
フラーレンの品質が心配
フラーレン配合の化粧品と謳っていても、
配合量や質ってどうなってるんだろうと
心配なこともありますよね。
フラーレンを規定値以上配合した化粧品には
ロゴマークが付与されます。
パッケージや成分表示のラベルなどにこのような
ロゴマークがあれば、規定値以上の
フラーレンが配合されている証拠になります。
既定値以下の配合しかされていない場合
ロゴマークは使用できないので、
ロゴマークはフラーレン配合量を知りたい場合、
分かりやすい目安になりますので知っておくと便利です。
ただし、化粧品メーカーによっては
付与されたロゴマークをつけていない場合がありますので、
直接メーカーなどに確認する必要があります。
フラーレンのバリア機能向上効果
お肌に刺激を与えることは、NGという事は
もう、みなさん、ご存知ですよね?
摩擦を与えたり、また産毛まで抜けるような剥がすパックは
お肌を傷めつけてしまいます。
表皮の厚さは、およそ0.2ミリ。
そして、最表面の角層は平均で、やく0.02ミリと非常に薄い膜です。
ここで、バリア機能と保湿機能という大切な役割を担っているので
むりに擦ったり剥がしたりして層が傷つくと、
大変なことになるということはわかりますよね?
テープを皮膚に貼って剥がす行為⇒角層を複数回剥がすと
酸化ストレスが生じて肌荒れの状態が起こります。
このように強制的に酸化ストレスにさらされた状態のヒトの皮膚に
水溶性フラーレン(RS)を塗布した場合と塗布しない場合の
比較試験がおこなわれました。
2日経過観察したところ、
塗布していないヒト皮膚のバリア回復率は30%でした。
塗布したヒト皮膚は約50%のバリア回復率を示しました。
これを角質細胞の割合で見てみると
2日経過観察した結果
塗布していない角層細胞:成熟したもの20%、未熟なものが80%
塗布した角層細胞:成熟したもの40%、未熟なもの60%
このことから、成熟率が高いことも確認されました。
ほかにも、
紫外線や皮脂の酸化などによる酸化ストレスが高まって起こる
皮膚角層のバリア機能の低下を防ぎ、
肌荒れを防止・改善する効果があると考えられています。
黄ぐすみへの効果
年齢とともに、肌が黄色くくすんでいく現象「黄ぐすみ」。
「糖化」が関係していますが、「糖化」とは、
体内のたんぱく質(コラーゲンなど)と
食事などで摂取した糖が結びつくことでおこる現象です。
フラーレンに肌の乾燥や黄ぐすみの原因となるタンパク質の
カルボニル化を抑制する効果が確認されています。
たるみを改善効果
フラーレン化粧品原料の一つであるMoist Fullerene
(モイストフラーレン)がたるみを改善する効果がわかっています。
モイストフラーレン1%配合美容液を顔の半分にのみ
朝・晩のスキンケアに追加し、28日間後にその違いを比較した結果
フラーレンが肌の保湿に重要となるセラミドを増加させる
メカニズムが確認されました。
セラミドは、角層細胞どうしのすき間を満たし、
細胞どうしや水分をつなぎとめている、肌の必須成分です。
充分な「セラミド」で満たされたお肌は、
バリア機能の働きも高く、外的刺激による肌荒れを起こしにくい状態です。
肌表面も、潤ってキメが整っています。
バリア機能を高めるフラーレンは、
やはり、バリア機能に欠かせないセラミドの増加にも関係が深いというワケです。
フラーレンの安全性
いくら、肌効果が高い美容成分でも、
取り扱いや使用方法に注意しなければならないものもあります。
フラーレンの安全性や毒性については
食べた場合、目に入った場合、皮膚に塗った場合、アレルギーになるかどうか、
に関して発がん性や毒性はみられず安全性が確認されてします。
ヒトパッチテストでも安全性が確認されています。
だからと言って、食べ物ではありませんので、
食べたり飲んだりはしないでくださいね。
また、刺激に関しては、ビタミンCと同様の抗酸化効果や
酸化還元効果があるということから、刺激があるのではないか
という懸念を持つ方もいるかもしれません。
でも、ビタミンCとは抗酸化のメカニズムが違うので
ビタミンCのように刺激が起きるということはありません。
比較的、新しい成分であるフラーレンですが、
フラーレン化粧品の10年近い販売実績の中で、これまでに
フラーレンを原因とした肌トラブルの報告はなく、
その点でも安全性の高さが示されています。